開院から117年あまりの歴史を有する呉共済病院。地域に根ざした医療を提供する同院では、医師や職員の時間外労働の増加という課題を抱えていました。同院 事務次長 経営企画室 課長の藤井 友広 氏は「時間外労働は増加傾向にあり、部署によって偏りがある状況だった」と述べます。
2024年4月には医師の働き方改革で「時間外労働時間の上限規制」が適用されます。そのため、時間外労働の減少、部署間における業務量の格差是正、また、人材確保が困難になるなかで人材不足の課題を解消し、医師の働き方改革を実現していくことは喫緊の課題でした。そこで、業務効率化や業務改善を実現していくために検討されたのが、RPA導入による業務の自動化、省力化の実現でした。
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「旧ツールで作成した約30のロボットのAutomation Anywhereへの移行も、約2ヵ月の短期間だったにもかかわらずスムーズに行え、 移行に伴う業務への影響はありませんでした」
お客様の成果
新規システム導入に比べコスト不要、数ヵ月の期間短縮を実現した例も
2019年3月から職員6名が国産RPAツールの研修を受け、トライアルを開始しました。しかし、当初導入したツールは「エラーが発生してRPAが止まるというケースが生じていた」そう です。土日にエラーが発生すると、月曜日に出勤したときに止まった業務処理の対応に追われることがしばしばありました。
また、スケジュールについても、院内業務の中には、月末や月初など、処理するデータ量が多いときには処理時間が伸びてしまうものがあり、連携する別の業務をRPAで動かすことができなくなってしまうため、最大処理時間にあわせてスケジュールを組む必要がありました。 こうしたことから別のRPA ツールを検討することとし、そこで検討、2021年4月に採用されたのが Automation Anywhereでした。藤井 氏は、Automation Anywhere採用の決め手として、「作成スピードが速い」点と「エラーが起こりにくい」点を挙げました。
また、スケジュール機能によって、円滑にスケジュールを設定、RPA を稼働させることができる点や、権限設定や機能の切り分け、ログイン情報の秘匿化など「セキュリティの高さ」も決め手となったということです。
自動化されたプロセス
今後は、RPAの適用業務を職員課へも拡張していくそうです。また、業務の対象者も診療部や看護部、コメディカル(医師・看護師以外の医療従事者)へと拡張していきたいと藤井 氏は話します。
そのためには、院内へのさらなるRPAの周知やRPA作成者の育成、および体制の整備が今後の課題になるそうです。RPAの適用業務や作成、運用管理の体制強化によって、さらなる業務効率化、業務改善を実現していきたいと藤井 氏は締めくくりました。
1904(明治37)年開院、広島県呉市にある呉共済病院は、国家公務員共済組合連合会の病院です。「高度・良質の医療」「最善の奉仕」「研鑽と協調」「地域医療の支援」を理念とし、地域医療支援病院、災害拠点病院の指定を受けています。標榜診療科は33診療科、令和2年度診療実績は、1日平均外来数が651名、1日平均入院数が303名、職員数は764名を擁しています。