京都銀行はデジタル戦略に基づき、「銀行サービスのデジタル化」や、RPA や AI-OCR などの活用による「銀行業務・事務手続きのデジタル化」、そして「お客さまのデジタル化推進」という 3 つのデジタル化を実現していく考えです。
RPA による業務効率化は上述した「銀行業務・事務手続きのデジタル化」に位置づけられます。同行 イノベーション・デジタル戦略部 審議役の日野 正喜 氏によると、「営業や事務効率化の企画、営業支援などを担う本部各部に、約 800 名の行員が従事しているが、様々な管理資料や計数の取りまとめなどの日々の事務作業に忙殺され、なかなか本来の業務に専念できない課題があった」ということです。
そこで、業務の抜本的な改革を進め「本来の企画や営業に専念」できるよう、2020 年 4 月か ら本部業務改革のプロジェクトがスタートしました。3 年間で約 80 名相当(初年度は 30 名程度)の業務効率化を KPI に定め、140 にわたる本部業務の洗い出し・整理が行われた結果「本部業務のうち 70 業務が RPA に適しているとされた」(日野 氏)ということです。
導入事例のダウンロードお客様の声
「Automation Anywhere の開発者研修の実施と、コンサルタントによるマン ツー マンでのボット開発のサポートを継続してくれた結果、内製による開発体制に移行できました」
お客様の成果
38 業務
ロボットが稼働する業務数
11,000 時間
削減効果
RPA の選定、導入は 2019 年 秋から進められました。「2018 年から別の 1 部署で国産 RPA ツールを導入し、 14 業務にボットが稼働して年間 1500 時間相当の効率化を実現していた」 (日野 氏)ことから、本部業務全体に RPA 適用を拡大するにあたり、Automation Anywhere を含む複数製品が比較検討されました。
それまで導入していた RPA ツールでは「夜間処理が難しかった」(日野 氏)ことから、夜間を含めた 24 時間処理が可能かといったポイントや、大量データの処理が可能かといった「開発、 運用、セキュリティ面での機能性」が評価されました。
また、「ボット開発を開発経験のない現場担当者が行う体制を想定していた」(日野 氏)ため、 直感的な操作で容易に開発が行えるかといった「開発の容易さ」もポイントでした。 そして期限までに目標の 70 業務に RPA を適用可能にする開発支援などの「導入後のサポー ト体制」といった項目なども含めて検討された結果、導入実績やコストなども総合的に勘案し、 「Automation Anywhere Document Automation」を含む、「Automation Anywhere Enterprise A2019」のオンプレミス版が導入されました。
導入前に実施された PoC (概念実証)の対象となった、「預金調査対応業務」は、毎日、手作業で数人が従事し、単純だがミスが許されない業務です。これを RPA で自動化することにより、 夜間に処理が完了、年間で 2,600 時間にのぼる削減効果が実証されました。
自動化されたプロセス
今後の展望について、日野 氏は「インターネット取引に RPA を適用させていきたい」と話します。たとえば、2021 年 4 月には、ホームページやアプリで顧客の問い合わせなどに AI が回答する「AI チャットボット」サービスが開始され、今後もインターネットで提供されるサービスへの RPA や AI-OCR の適用を拡大すべく、さらなる Automation Anywhere の支援を期待したいとのことです。
また、RPA 対象業務の拡大や RPA 開発人材の育成も継続していきたいということです。今回の RPA 導入を契機に、業務改革カルチャーを本部全体へ浸透させ、さらには行内全体に広げていきたいとのことです。
京都市に本店を置く地方銀行として 1941 年(昭和 16 年)に創立した株式会社京都銀行。近畿地方最大の地方銀行として、従業員数は約 3,500 名、国内外に 190 を超える拠点を擁する広域型地方銀行です。2020 年にはすべてのお客さまとデジタルで繋がる「デジタルコネクト」を基本方針とする第 7 次中期経営計画「Phase Change 2020」を発表し、デジタル戦略を進めています。