人事が見逃しているチャンスがあるかもしれません
先日当社が開催したイベントでは、Ernst & Young(EY)社のSunil Mehta氏とDeepak Swaroop氏、世界最大規模のRPA導入を主導したANZ銀行(Australia and New Zealand Banking Group Limited)のViji Varghese氏、オートメーション・エニウェアのRob Hughesが登壇し、ANZの事例を取り上げながら、自動化がもたらす大きなチャンスについて、HR(人事)担当者と意見を交わしました。
このイベントでHR担当者に向けて発信されたメッセージは、「RPAを導入した企業は業務の自動化を実現する準備が整っている」というものでした。しかし、セッション中に実施された調査結果によると、来場者の多くはそのように感じていないことが判りました。
<主な調査結果>
- 3分の2近くの回答者が、「自動化の準備ができていないと思っている」、または、「準備できていてもどこから着手すればいいのかわからない」と回答
- 半数以上がHR部門での自動化戦略の担当者を知らないと回答
ANZでは、管理を適切に行ったことで週40個のソフトウェアBot導入に成功し、全社的なRPAの活用が可能だろうと判断したそうです。Varghese氏のRPAプログラムはANZにおける業務プロセス全体の約85%に関連しており、自動化によって時間に余裕ができた従業員を、より深い判断が必要で、戦略的な作業に再配置することに成功しています。ANZの事例の詳細については、こちら(英語) でご確認ください。
一方で、イベント中に問いかけられた、「自動化が、反復作業による初期のキャリア開発の機会を奪ってしまうことに、リスクはないのか」という質問をきっかけに、多くのHR担当者が、デジタル ワークフォースの導入やそれが従業員にもたらす意味について、「正しくも間違った」考え方をしていることが明らかになりました。つまり、HR部門としての従業員への配慮や注意義務に対する考えは正しい一方、テクノロジーが人間の労働力に与える影響を十分に理解していないという点では間違っているとも言えるのです。
仕事の質が刻々と変化しているのは事実です。若者のキャリアスタートのためだけに、企業が業務の慣性を維持することはなくなります。例えば将来、財務会計係は請求書を処理するのではなく、同様の作業を行うBotを管理し、結果を分析する、という業務を行うようになるわけです。
HR部門が受ける影響や問題は、この変革が驚異的なスピードで進んでいる点にあります。価値の低い反復作業を行うデジタル ワークフォースの導入は、スキル不足に対処する教育システムの発展よりも迅速に進んでいます。このため、HR部門の採用担当者は、加速化するニーズに対応する適材の発掘に本格的に取り組み、従業員が手作業ではなく頭脳を活用できるデジタル オペレーションの計画を策定することが極めて重要なのです。
デジタル ネイティブとなる次世代の従業員に対して、企業のブランドをしっかりと位置付け、担当者が目を見ながら一人ひとりを理解するのが一番理想的な未来の姿です。残りの仕事はBotがこなしますので、人である私たちにはその時間が十分にあるはずです。
Varghese 氏のメッセージをもう一度繰り返しましょう。「どの企業も自動化の準備は万端なのです。」