オートメーション・エニウェアは、2018年初夏に行われたシリーズA資金調達ラウンドで2億5,000万ドルの資金調達を行いました。急成長を遂げているRPA市場の中で、当社のリーダーシップの拡大、世界規模でのお客様とのつながり、そして製品開発の加速化を支援するため、World Innovation Lab(WiL)からも投資を受けました。
このたび、RPAの高成長市場である日本に対する見識やWiL社と当社の関係性について、同社ジェネラル パートナーであるRob Theis氏に話を伺いました。
オートメーション・エニウェア: オートメーション・エニウェアに投資を決意されたのはなぜですか。
Rob Theis氏: 私が初めてAI(人工知能)とプログラム(CADアプリケーション)を作成したのは、80年代初期のことでした。当時は、Symbolics3600のLISPを使用していましたが、直観的に動作するプログラムを作るのは難しいことでした。ソフトウェア ロボットのプログラムはそれより少し楽です。これはリニアコンピュータ プログラムで、特定のタスクについては人が介入することなく実行できます。あれから約30年経ち、ボットは急成長しました。1996年に「たまごっち」が爆発的に売れましたが、今では顧客との自然な対話が実現するチャット ボットなど、実にさまざまな用途で急速に開発が進められています。今日、インターネット トラフィックのほぼ50%がボットです。AIやマシンラーニング(機械学習)を活用するボットの企業導入はまだ始まったばかりですが、すでに3桁台の生産性向上を実現した例もあり、マスターカードやGoogle、GM、テスコなどの企業では大きな利益を出しています。
バック オフィスの生産性向上を目的に、メインフレームやクライアント/サーバー、ウェブベース、クラウドなど、企業は次々とERPソフトウェアの実装に投資してきました。その額は数十億ドルと言われています。ところが、ERPシステムを改めて実装するにあたって、測定可能なメリットは存在していません。こうしたERPシステムは、今や企業情報を格納する便利な「データベース」でしかないのです。
「ERPの時代は終わった」のです。その代わりに、RPAに投資すればそこから30倍のROIが実現します。ですから今はERPの実装やクラウドへの移行ではなく、RPAに投資すべき時期なのです。企業のCFO(最高財務責任者)やCOO(最高執行責任者)にとって、RPAシステムを全社規模で実装することほど会社の収益に影響を与える投資はありません。
ERPでは、データ入力や請求書処理、お客様や従業員からの問い合わせ対応、ローン申し込み処理、1,000ページにわたる監査文書の精査など、人が手作業で行う反復作業がまだ残っています。ソフトウェア ロボットなら、こうした作業を全て年中無休でほぼ完璧にやってのけます。既存のERPシステムにはこうした作業を実行する機能がありません。あるとすれば、カスタム プログラムやカスタム スクリプトがある場合のみです。想像してみてください、どんなアプリケーションとも連動できるロボットがあり、技術職でなくてもその設定を数時間でできるとしたら、どのようなことが実現できるでしょうか。多くの時間や数百万ドルというコストを節約できますよね。お客様サービスの改善にもつながります。そしてさらに重要なことに、人は創造的で価値の高いタスクに専念することができるのです。
RPAによって実現する「デジタルの利点」と、デジタル ロボットの活用で価値の高い作業に専念できる「人間の能力の利点」の組み合わせ。これこそが、現在業界が取り組んでいる職場の将来像です。以上の理由から当社はオートメーション・エニウェアへの投資を決意しました。
オートメーション・エニウェアは、今日のRPA業界のリーダーです。世界中に1,100件以上もの顧客を擁し、日本の顧客ベースも拡大しています。さらに、業務プロセスの自動化で15年以上にわたる確かな実績があり、使いやすさと拡張性を特長とする包括的なエンタープライズ プラットフォームを開発しています。ユーザーは小規模で導入を始め、短期間で全社規模へ拡張できます。また、同社は世界初のマーケットプレイス「Bot Store」を運営しています。ここではSAPやSalesforce、ServiceNow、Zendesk、Oracle、IBM、Googleなどの一般的な業務プロセス向けの構築済みボットが200点以上アップロードされており、ドラッグ アンド ドロップで簡単に実装できるようになっています。
現時点でのROIも素晴らしく、たとえば西オーストラリア州の大手電力会社Synergyは、現金による年間利益150億ドルを生み出しながら、163%のROIを実現しています。このような企業では、コストとエラーを削減しつつ、従業員に何百時間もの時間を生み出しています。このような生産性の向上を通して、オートメーション・エニウェアは顧客数の拡大(1,100件突破)と過去3年の年間経常収益100%超を実現してきたのです。
オートメーション・エニウェアがAIベースのソリューション「Document Automation」の開発をさらに推し進め、ボットが人間の行動からオブジェクトを認識して構文解析や分類を行ったり、意味や感情を解釈して知的な回答を提案できれば、自動化が進み生産性の向上も拡大するでしょう。オートメーション・エニウェアが今後どのようなロボットを開発して企業にデジタルトランスフォーメーションをもたらすのか、とても楽しみです。
オートメーション・エニウェア:WiLとのグローバルな提携を非常に嬉しく思っています。日本は当社の注力市場のひとつですが、RPAや当社ソリューションは、現在の日本市場のニーズにどのように合致しているのでしょうか。
Rob Theis 氏: 日本において、RPAの影響力は特に注目しています。高齢化が進み労働力人口が減少している日本は、労働生産性の向上という点で非常に大きな課題を抱えています。日本の厚生労働省によると、労働年齢の人口は、2000年の6800万人をピークに、2030年までに400万人、つまり6%も減少すると予想されています。国民はすでに長時間労働を強いられています。労働力の減少を受けながら、生産性を維持、あるいは向上させることは、多くの企業そして国全体の主要な戦略イニシアチブとなっています。当社は、日本のパートナー企業と密接に連携しているため、各社の成長を支える取り組みについては非常によく理解しています。オートメーション・エニウェアのようなRPAソリューションは、多くの日本企業で貴重な労働力を強化させるための戦略的な必須事項として認識されています。以上の理由から、今こそが日本市場への進出時期として最適なのです。
オートメーション・エニウェア: 当社がWiLとの提携を嬉しく思う理由のひとつに、貴社が持つパートナー企業ネットワークの力が挙げられます。日本進出にあたり、我々はどのようなかたちでコラボレーションできるでしょうか。
Rob Theis 氏: 我々は達成するべきミッションが一致しているので、パートナー ネットワークと高いレベルでコラボレーションができると期待しています。WiLは、日本政府と日本の大企業約30社によって支えられており、その多くがグローバル企業です。つまり、オートメーション・エニウェアは、もはや単なる米国企業ではなく、日本の大手有名企業の支援を受けて活動している企業であると言えます。
私たちのミッションは、このような大企業のデジタルトランスフォーメーションを促進するために、関連するスタートアップに投資やパートナシップの機会を提供したり、テクノロジーに対する重要なインサイトを提供したりすることです。オートメーション・エニウェアの製品は、大企業の業務のあり方を一新させて生産性向上を支援する、タイムリーで実用的なソリューションなのです。また、当社のネットワークは、支援者である企業以外にも様々な企業や個人で成り立っています。そのため、新たなチャネル パートナーや顧客の紹介、人材の獲得などを通じてオートメーション・エニウェアをサポートすることができます。
オートメーション・エニウェアとWiLのコラボレーションを通じて実現できることはたくさんあります。今回の提携を通じて、世界中の企業でデジタルトランスフォーメーションを推進できることを楽しみにしています。